アクセサリー
17
 電話でもメールでも隆一に連絡がとれないことが不安で仕方なかった。何かあったのではないだろうか? 彩乃はそう考えると心配で胸がいっぱいになった。
 十一月八日。
 寒空の下、そんな不安な気持ちでキャンパスを歩いていた。なんだかキャンパスが少し暗くなったように映る。立ち並ぶ木々も、図書館も、教室も、カフェも、何もかも。太陽さえも今日は顔を出さない。
「あれ? 彩乃ちゃんだ」
 目の前から大きな男がやってきた。玄太郎だ。
「ああ、玄太郎さん。こんにちは」
「彩乃ちゃんは最近きれいだね……、でもちょっと浮かない顔してるね……。隆一と一緒だ」
「えっ?」
「うん。そうそう隆一も浮かない顔してるんだ」
「もしかして何か病気だったり……?」
「……病気? じゃないと思うけど……、今日それも含めてちょっと話してみようかなと思ってるんだ。一緒にくる?」
「……はい! 是非」
 玄太郎から場所と時間を聞いた。とりあえず隆一に会えると思うと希望が見える。時間は四限後。彩乃は五限があったがそんなものはどうでもいい。もっと大事なものがあるのだ。

 五限授業の教室を素通りして、彩乃は待ち合わせ場所のラウンジ前のベンチに向かう。
 ベンチが見えてくると、玄太郎はすでに腰かけていた。あわてて彩乃はかけよって、
「お待たせしてごめんなさい!」
と頭を下げた。
玄太郎はゆっくり立ち上がる。
「今きたとこだから、全然……。おっ、もう来てる来てる」
玄太郎の目の先に隆一が見える。ラウンジのガラス越しに見える隆一は椅子に深く腰掛けて、大きく脱力しているようだ。
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