身代わり王女に花嫁教育、始めます!
「心配には及ばぬ。これは王命だ」

「王の……命礼?」


カリムはゆっくりと進み、部屋の中に唯一置かれた大きな家具、寝台に腰を下ろした。


「さて、ではレイラー殿。その場でバスィールの花嫁衣裳をすべて脱いでいただこう」

「ぬ、脱いでって、そんなっ!?」


リーンは芝居も忘れ声をあげる。


「そうだ。王の代わりに命じる。――さっさと裸になれ!」


クアルンは花嫁の純潔を重んじる国と聞いていた。

下々では、純潔を奪った男はその娘を妻に娶らねば、娘の父親に殺されるのだそうだ。


そんな話を聞いていたリーンは、まさか正式な結婚前に、貞操の危機に陥るとは思ってもいなかった。


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