身代わり王女に花嫁教育、始めます!
「レイラー王女は気品があり、物静かな女性だとバスィール大公からお聞きしたのだが」

「……」


カリムの言葉にリーンは口を閉じた。


気品はともかく、レイラー王女は間違っても物静かなタイプではない。

だが、大公が娘を売り込むため、そう言った可能性はある。


リーンは姿勢を正し、


「わたくしはクアルン国王陛下に嫁ぐ身です。そのわたくしの部屋に、側近とはいえ男性が入り込むのを、陛下は喜ばれないでしょう。お目にかかったときには、ぜひお伝えせねばなりませんね」


威嚇のつもりで発する。

だが、どうやらその効果はなかったようだ。


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