身代わり王女に花嫁教育、始めます!
このとき、シャーヒーンは王に服従を誓った。

彼女は王を絶対的な支配者、神に等しい存在と崇めた。この世の果て、いや、地獄までも、王に来いと言われたら迷わず付き従うであろう。

神はシャーヒーンに命を与えたが、その命に価値を与えたのは王であった。



野営地の大きなテントが見えなくなるまで、カリムは砂上を駆けた。

天上の星々が金色の髪に降り注ぐ。たとえ砂漠の端、国境の近くにいてもカリムの存在は暗い砂漠の中心だ。


ここが王都であったならハーレムに駆け込み、数回相手にした年上の女を抱いただろう。

あるいは町に出向き、娼館に駆け込むこともできた。

砂漠の宮殿であっても、寡婦の侍女を押し倒したかもしれない。


だが、こんな辺境の地ではそれもままならない。


今回のテントは国境警備隊に設営を任せたものだった。


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