身代わり王女に花嫁教育、始めます!
砂漠の宮殿に入る手前で身体を清めさせ、すべてクアルンの衣服に着替えさせるための場所。

臨時の野営地に、王の夜伽(よとぎ)を務める女などひとりもいない。


ましてや、バスィールから来た女官になど手を出す訳にもいかず。


(シャーヒーンは抱けぬ。忠実な部下を失うことになる)


リーンの前では平静を装ったカリムだが、実際のところ、欲求は限界まで高ぶっていた。

彼はそれを静めるため、砂漠に飛び出したのだ。


砂丘を越えると岩場を見つけ、彼は馬から下りた。

岩の近くに一本のナツメヤシの木が生えている。

周辺に水場は見当たらないが、彼は何ごとか気づいたように馬の手綱を木に繋いだ。


< 58 / 246 >

この作品をシェア

pagetop