身代わり王女に花嫁教育、始めます!
――砂嵐がきている。いや、それ以上に禍々しい気配が……。


「チッ! 水脈を動かしたことに気づいたか? なるほど、涸れ谷が多いというだけのことはある」


砂嵐の中に魔物の潜む気配を捉えた。

魔物とは水脈を絶たれ命を落とした様々な“もの”の集まりだ。人もいれば動物もいる。砂漠の過酷さを知りながら、砂漠から逃れることのできない、涸れ谷に巣くう邪悪の塊。


そんな“もの”たちに、地獄から逃げ出した悪魔が力を与えているという。


(水使いや巫女の気配には敏い奴らめ……)


奴らは水脈を求め、水使いや巫女を狙う。

連れ去られた者の多くが二度と戻って来ず、死体が見つかることすら幸運だった。


カリムはオアシスから出てトーブを羽織る。


「シャーヒーン、馬を頼む。岩場の裏側に隠れていろ。――心配いたすな。私は負けぬ」


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