身代わり王女に花嫁教育、始めます!
「それはどういうことでしょう!? わたくしは、言われるとおりにいたしましたが」


あれほどまで恥ずかしい格好をさせながら、まだ足りないというのだろうか?

もし本物の王女であったなら、衣装を脱ぐことすら拒んだかもしれない。


「確かに。大公のご息女とは思えぬ従順さではあったが」


カリムは冷ややかな声と視線に、リーンはギュッと口元を引き締め、身じろぎもせずに我慢した。


「しかし……王のハーレムに入り、王に仕えるということを、あなたは真の意味でわかっていないようだ」

「そ、そんなことをおっしゃられても……」

「王は処女がお嫌いなのだよ。寝台の上では楽しく過ごされたいと思っておられる。だが、国の掟により、王妃に迎える娘は処女でなければならない」

「無茶だわ、そんな……。いくら知識を得ても、水に入ったことのない人間は泳げません! それを、大海に突き落とすようなものじゃないの!」


リーンはカッとして声を荒げた。


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