身代わり王女に花嫁教育、始めます!
浴槽の周囲には板が何枚も積み重ねて敷き詰められていた。

この部屋はバスィールの宮殿にある浴室に負けないほど豪華だ。


(なんで砂漠にお風呂があるの? 信じられない! どうやって作ったの?)


「王が作らせたものだ」


リーンの心の声を聞いたかのように、背後からカリムの声が聞こえた。


「水浴び、入浴問わずお好きな方で、砂漠の宮殿でも毎日入られる」

「でも、ここに国王陛下は……」


来ないと聞いたのは間違いだったのだろうか? リーンは不安を覚え、浴槽を凝視したまま尋ねる。


「当初はお越しになられる予定だった。それで用意させたのだが……。まあ、無駄にならず幸いと言うべきだな」

「それはどういう意味で……しょ……」


振り返った瞬間、リーンは絶句した。


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