身代わり王女に花嫁教育、始めます!
さすがに泳げるほどの広さはないが、それでもカリムが足を伸ばして座ることも可能だ。リーンが近づいた瞬間、彼は手首を掴み引き寄せた。

リーンは湯の中でバランスを崩し、カリムに倒れ込む。


「あっ……あの」


ひざの上に抱きとめられ、カリムに背中を向けて座り込む形になってしまった。

リーンはどうしたらいいのかわからず、戸惑いを露わにする。


「カリムどの、このあとはどうすれば……ぁんっ!」


カリムが触れているのは手首だけだ。それなのに、リーンの躯に快感が走った。それはまるで脚を撫でられたような……全身がゾクゾクする感覚。例の儀式でカリムに触れられたときと同じ、自分では抑えようのない、悦びの予感だった。

あのとき、カリムはリーンを弄んだ。精霊を呼ぶ呪文で魔法をかけられたようになり、彼の前で身悶えしつつ、とんでもない痴態を晒してしまったのである。

二度とあんなふうにはなるまい、そう思っていたのに。

リーンがほんの少し動くだけで、湯は彼女の肌をサワリと撫でる。

その感触がジワジワと足もとから這い上がってきて、ふくらはぎからひざの裏側を伝い、太ももまでを何度も往復する。


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