身代わり王女に花嫁教育、始めます!
バスィールの宮殿は水資源の安定した東部にある。

だが、砂漠に近い西部では、そこそこの階級の者でも湯浴みがせいぜいと聞いた。それほどまでに水は貴重だ。


カリムは立ち上がり、浴槽の中に足を入れる。表面がわずかに揺れ、彼が座ると腹部まで湯に隠れた。


「どうしたのだ? さあ、あなたも入りなさい」


入れと言われても、薄布一枚という下着姿だ。そのまま入ってよいものかどうか、リーンは困り果てる。かといって、脱げと言われたら……。

無言で立ち尽くすリーンをカリムはじっとみていた。


「そのままでよい。こちらへ」

「……はい……」


足を浸した瞬間、リーンはカリムに全身をからめ取られる錯覚に陥った。湯が生き物のように彼女の肌にまとわりつく。


(逆らえない、この人には……どうして?)


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