Loose-leaf*放課後の甘いキス






「夏川!聞いて!広瀬が私のことサボってるって言うの!」


「はっ!サボってるだろ、ありゃ~」


「だーかーらー。メアド交換の何が悪いって言うのよ!?」





また、ぎゃーぎゃーといい合う二人を見ながら





「え、何。どういう状況?」





困った笑顔で、振り向いた。





え……

えっ

もしかして……


私に、聞いてるとか……?




キョロキョロと周りを見渡すけれど


それらしき人は、誰もいなくて



どうやら、本当に私だったみたいです






「え、えっと……真菜ちゃんと、私がメールアドレスの交換をしてて…」


「うん」



「広瀬くんが来て……」


「うん」


「そうしたら、真菜ちゃんにサボってるって…」





「納得納得~!あの二人、いっつも口げんかしてるよな~!」






爽やかに笑う夏川くんと目を合わせることなんてできなくて

俯きながら、うん、とうなづく





「あ、じゃあさ。俺らも交換する?」






「……え?」


「ほら、葉月とまだしてないしさ!」



や……嫌だったら、断って!






きっと、この言葉に深い意味などこめられてはいない。






けれど……




どきどきとなり始めた心臓を、止めることはできないんです。









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