Loose-leaf*放課後の甘いキス



「はい!」

「…へ?」


いきなり渡された、白いプリント


「……、はなし聞いてた〜?

「えっ…あ、…っ」


そういえば…、ぼーっとしてた、かも…

少し呆れながら苦笑する彼。

「花舞踊のスケジュール!ちゃんとよんどけよ」

しっかりそうに見えて、意外とぬけてるんだな


くすくすと、小さく笑いながらそう注意するのは
隣のクラスの、相沢くん。

少し茶髪がかった髪に、目鼻立ちもはっきりしている彼は

見るからに、モテるオーラ全開


「…………てゆーの?」


「…っえ?」




「名前!」



ぼーっとプリントを眺めていたら、相沢くんの声なんて届かなくて

突然肩に触れられた手に、びくっとなる。



「葉月夢愛…、です…」



「へ〜!じゃあ…葉月ちゃんだ!」



明るく笑う、相沢君を見ると
人気があるのも、わかる気がする


その後、苦手意識を持っていたはずの相沢くんだけど
明るく接してくれるその態度は、私の心をするすると、ときほどくように。

わたしのこころを、ふんわりと柔らかなベールで、つつみこんだ。
< 85 / 86 >

この作品をシェア

pagetop