なみだのほし−Earth Tear Chlonicle−
◇
ごめんね。
ユマの胸に浮かぶのはたった一言だった。
ごめんね、の、ただ一言。
次の新月に成人の儀を迎える妹。
−泣いている。次から次に涙を流して。
ユマにすがりついて。幼い頃のそのままに。
…ごめんね、小さい妹。
「…ディニ。あなたに、託していいかしら…」
この子の行方を。
「私が伝えられなかったことを…伝えてほしいの…」
この子が私の妹になった理由を。
ディニは、ユマの視線を受け止めて、うなずいた。
「はい。」
ディニが唇を噛んで言った瞬間、レネが狂ったようにかぶりを振った。
「−嫌だ!ディニ、はいなんて言っちゃ駄目!そしたらユマは行っちゃうんだ。
ごめんね、って言って、あたしがうんって言ったら出かけちゃうんだよ!いつもそうだよ!…ねえ、ユマ!」
ユマは、何も答えられなかった。
その通りだったから。
ごめんね、と言えば許される気がしていた。ごめんねなんて言われたら、子供は黙ってうなずくしかないのに。
それでも。謝ることしか出来なかった。
自由なこの子を、一瞬でも何かに縛り付けてしまう罪悪感を消すために。
「…レネ。あなたの名前をどうやって書くか、知ってる?」
「…ユマ?」
ユマは微笑んでいた。
昔のように。明るい戸口で迎えてくれた、家の灯そのものの温かさで。
痩せてしまった冷たい指が上がって、レネの小さな掌に文字を書いた。
零 根
「レイネ。根無き者。何者にも捕われない自由な者。そういう意味よ…」
「根、無き者…?」
レネは困惑している。
根だと思っていた、何よりも大切な姉の口から、思いもよらない言葉を聞いて。
「私はあなたの仮の根。…これ以上私がいては、あなたを縛り付けてしまう。
根無き子…これからは、どうか自由に…」
「ユマ…?」
姉の言葉が理解できずに、レネがもう一度問おうとしたとき。
かいだことのある臭いがした。
ごめんね。
ユマの胸に浮かぶのはたった一言だった。
ごめんね、の、ただ一言。
次の新月に成人の儀を迎える妹。
−泣いている。次から次に涙を流して。
ユマにすがりついて。幼い頃のそのままに。
…ごめんね、小さい妹。
「…ディニ。あなたに、託していいかしら…」
この子の行方を。
「私が伝えられなかったことを…伝えてほしいの…」
この子が私の妹になった理由を。
ディニは、ユマの視線を受け止めて、うなずいた。
「はい。」
ディニが唇を噛んで言った瞬間、レネが狂ったようにかぶりを振った。
「−嫌だ!ディニ、はいなんて言っちゃ駄目!そしたらユマは行っちゃうんだ。
ごめんね、って言って、あたしがうんって言ったら出かけちゃうんだよ!いつもそうだよ!…ねえ、ユマ!」
ユマは、何も答えられなかった。
その通りだったから。
ごめんね、と言えば許される気がしていた。ごめんねなんて言われたら、子供は黙ってうなずくしかないのに。
それでも。謝ることしか出来なかった。
自由なこの子を、一瞬でも何かに縛り付けてしまう罪悪感を消すために。
「…レネ。あなたの名前をどうやって書くか、知ってる?」
「…ユマ?」
ユマは微笑んでいた。
昔のように。明るい戸口で迎えてくれた、家の灯そのものの温かさで。
痩せてしまった冷たい指が上がって、レネの小さな掌に文字を書いた。
零 根
「レイネ。根無き者。何者にも捕われない自由な者。そういう意味よ…」
「根、無き者…?」
レネは困惑している。
根だと思っていた、何よりも大切な姉の口から、思いもよらない言葉を聞いて。
「私はあなたの仮の根。…これ以上私がいては、あなたを縛り付けてしまう。
根無き子…これからは、どうか自由に…」
「ユマ…?」
姉の言葉が理解できずに、レネがもう一度問おうとしたとき。
かいだことのある臭いがした。