河のむこう
「卒業式の日、お前は居眠りしてた。不謹慎なやつだ。」
わっ、悪かったわね・・・。
「で、不謹慎なやつがもう一人、タバコ吸ってる親がいた。不謹慎の極みだなぁ?」
それはあたしのせいじゃないし・・・
「そんで紅白の垂れ幕に引火した。赤白の垂れ幕が、真っ赤な炎で染められて・・・
寝てたお前と、タバコのやつが逃げ遅れて、死んだんだよ。」
逃げ遅れて・・・死んだ・・・。
そんなこと、いきなり言われても信じられないよ。
「どうだ?一度死んだ感想は。」
男性があたしに問う。
どうだって何よ・・・!
「そんなの、信じられるわけないじゃない!!」
あたしは顔を赤くして叫ぶ。
男性は、眉間のしわを深めた。
「信じろよ。俺を。」
「初対面のくせに、信じられないって言ってるでしょ!」
「信じろよ・・・」
目の前が暗くなる。
冷静になると、彼のくちびるにあたしのくちびるが、押し付けられているのがわかった。
「・・・!」
彼のくちびるは、冷たかった。
「お前、あったかい。」
「え・・・」
顔がほてっていくのがわかる。
あたし、この人とキス・・・!
でも、なぜ彼のくちびるはこんなに冷たいの?
「久しぶりだ・・・あったかいものにふれたの。」
「・・・。」
久しぶりって、どうゆうこと?
「で、信じるのか?」
彼が話をもどした。
そうだ、あたしは一度死んだって話・・・。
なんでキスする必要があったの?
「俺も、一度死んでる。」