河のむこう



俺も、一度死んでる・・・・。


「話が、ぜんぜん見えないんだけど」

あたしは言った。


「はぁ・・・」


彼がため息をつく。


なんでため息つくのよ・・・


「これ、見ろ。」


分厚い本を手渡される。

表紙には、「説明書」と書いてあった。


「それ、お前の説明書。お前の今までの人生と、これからのことが記してある。」


本をめくる。

たくさんの項目に、チェックがされていた。

その中のひとつ、「愛」にはチェックがない。


男性が口を開く。

「人間は、説明書に沿って生きているんだが、その項目すべてを埋め死んだとき
天に召される。  しかしそのすべてを埋めず、事故や病気で死んだとき、俺らのように河のむこうにおいていかれるってワケだ。」


・・・・・・。

今度はあたしが眉間のしわを深くする。


「・・・どうしたんだよ。」


男性が顔をのぞいてきた。

「っひゃぁ!」

距離の近さに驚いて、あたしはのけぞってしまった。


「あぶねっっ・・・!」



ーーーーザバンッ!


あたしたちは河に落ちてしまった。


「がふっ・・・」


しまった!あたし泳げない・・・!


意識が朦朧とする中、男性の顔が目の前にきた。

・・・!


あたしは、男性に担がれて、河から上がり原っぱに座らされた。




< 5 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop