†蝶鬼鈴†


「立てますか?」


縄を解き終わり、こちらに差し伸べられた手を、私は反射的に受け取った。


「うっ……。」


体のいたるところが痛むけど、私は何とか立ち上がる。


「おい、そいつから離れろ、千華!」

「そいつが誰だか分かってるのか!?」

「長州の者だぞ!」


そんな言葉を無視し、彼女は近藤さんを見る。


「この子に応急処置をします。」

「だ、だがな、立花君……!」

「敵であろうと、こんな女の子を痛めつけるなんて、同じ女として許せません!!」
< 36 / 254 >

この作品をシェア

pagetop