遠距離恋愛

失った大切なもの

メル友が出来た僕は毎日唯からのメールを楽しみにしていた。
でも毎日メールは来る訳がない。
唯には彼氏がいるから。
でも僕は5分に1回のペースで携帯を見た。
何度も何度も。
いつの間にか唯からのメールを待っているのは僕の方になっていた。
変わったのはそれだけじゃない。
メールをしているうちに、唯への想いも少しずつ変わっていった…。
ある日、唯からのメールが2、3日途切れてしまった。
いつもより返事が遅く、僕はとても唯の心配をした。
僕たちの関係は、ただのメル友…。
実際そんな唯の事は意識していなかったけど、自分の心の中では『メル友』から抜け出したいという気持ちが少しずつ増えていった。
自分でも不思議でしょうがない…。
メールがくるのをただひたすら待つ。
唯を待って3日目、メールが突然やってきた。
僕は、やっと話ができると思い嬉しくてたまらなかった。
しかしメールの内容は、唯にとってとても辛い物だった。
「彼氏と別れたんだ。」
そんなメールがきた…。
唯の彼氏は他に好きな人ができてしまい、その人と付き合いたいが為に別れた、と言う自分勝手な理由だった…。
唯は別れを拒んだが、唯の中で何かが切れ、逆に唯から別れを言ったらしい…。
空白の3日間は、唯がボロボロになった精神を修復する為の時間だった。
唯は一人で泣き崩れ、1番信じていた人を失った事によって、誰も信じられなくなってしまった…。
その時の唯は何事も無かったの様にメールをしてくれた。
本当は寂しくてたまらないだろう。
そんな寂しさからか、唯は毎日メールをしてくるようになった。
できれば近くで唯の支えになってあげたいけど、僕たちは遠くに離れていて何もしてあげる事はできなかった…。

空に浮かんでいた綺麗で真っ白な雲は、やがて暗い雨雲へ変わった。
雨雲から降る大粒の雨は、地面に落ちてその跡を残していく。
もし僕が君の太陽ならば、光を射し、跡を消して君をまた綺麗で真っ白な雲に変える事ができるだろう。
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