遠距離恋愛

一歩近づく二人

「おはよう。」
朝、いつもの様に携帯を見ると唯からこんなメールがきていた。
初めてだった。
朝早くこんなメールをくれる人は今まで一度もなかったし、実際嬉しかった。
メールはバイトの時間以外は5分に1回のペースでやりとりをしていた。
話す事なんてただ今日あった事とか昔の話だけだけど、2人のメールは絶える事はなかった。
そして初めてお互いの顔を知るために、写真付きのメールを交換する事になった。
すごくドキドキして、写真もいいショットにしないとと思い、3日くらい迷ってしまった。
その間に唯が先に写真送ってきてくれた。
初めて見るメル友の顔、どんな人だろう?
ただメールを開くだけなのに緊張してしまう。
そして、ついにメールを開けた…。
そこには僕が思っていた以上にかわいい女の子がいた。
メル友だから少し期待はしていなかったけど、写真に写されていたのは綺麗な人だった。
僕はついメールで、
「全然いけるじゃん。」
とか意味不明な事を言ってしまった。
「全然いけるって、おじさんみたいな事言うね。もしかしておじさんでしょ?」
「違うよ。おじさんっぽかったかなぁ?」
「いいよ、本当の事言って?おじさんでしょう?」
なんて変な会話が続いた。
もちろん唯は冗談半分で僕をからかっただけだ。
そろそろ僕も写真送らなきゃ…と、思い送った写真は、当時自分でかっこいいと思った物を送った。
今思うと、なぜあの写真を送ってしまったのかと思う。
髪の毛はオールバックで白いジャージ姿…。
唯は写真を見て、背が高くて怖い人と間違えてしまったらしぃ…。
今は写真と違って、髪の毛は下ろしておちついている。
それでも唯は、
「かっこいいね。」
なんてとんでもない事を言った。
お互いこれで初めて顔を知る事になって、さらにメールは盛り上がった。
僕たちがお互いの顔を知った事で、距離が一歩近づいたような気がする。
例え遠くにいるとわかってても、嬉しかった。
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