太陽の竜と闇の青年
壱にグイグイと引っ張られ後をついていくと、庭園にでた。


庭園に誰もいないのを確認するかのように壱はあたりを見回した。


そして、私の両肩に片方ずつ手をのせると、私の目をまっすぐにみた。


な、何が始まるのだ!?


私が動揺している中、壱はゆっくりと言葉を紡いだ。


「ルウ。お前は俺に好きな人がいる、と言ったな」


私はうなずく。


「お前は俺の好きな人を知っているのか?」


私は首を振る。


壱は小さくため息をついた。


「だと思った……。いいか、ルウ」


私はうなずく。


「お前は攻略結婚じゃなければいい、と言ったな」


私はうなずく。


「ならば、ハッキリいう。俺には確かに好きな人がいる」


私は泣きそうになるのを必死に堪えた。


でも……。


そんなに堂々といわなくてもいいじゃん……。


「で、お前は好きな人がいるのか?」


…………。


私は小さくうなずく。


本人を前にして。


「そうか……」


壱はフッと一瞬だけ私から目をはずしたけど、すぐに合わせた。


「ルウの好きな人が誰かはわからない。だけど……俺が大切にしたいのは、一生守りたいと思うのは、いつも一緒にいたいと思うのは……」


グイッと引っ張られ、私は壱の腕の中にすっぽりとおさまってしまった。


っていうか、何これ!?


えっ!?


どういう状況!?

そのとき、私の耳元で壱が囁くように今まで聞いたことがないぐらい甘い甘い声を出した。


「お前だよ……ルウ……」


私の顔は一瞬にして赤くなった。


嘘だ……。


「嘘……だ……」


私がそうつぶやくと、壱の抱く力が強くなった。


「嘘じゃない」


私がスッと小さく顔を動かそうとしたとき、それは遮られた。


「みるな……」


だけど、でも、少し遅かったよ、壱。


みちゃった……。


壱の顔も、耳も真っ赤だったとこ…………。


本当……なんだ……。
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