太陽の竜と闇の青年
[壱]


俺は前を歩くネロの後ろ姿をボーっとみていた。


結構いい筋肉のつきかたしてるじゃないか。


服からのぞく筋肉のついた腕はしっかりとした腕だった。


そのとき、ピタリとネロが足を止めた。


俺を藍色の目でしっかりと睨む。


「お前、本当にルウを守り抜くことができるのか?」


俺がうなずくと、ネロは目をすがめた。


「昔、チビにお金と権力目当てで何人も求婚を申し込んできた奴等がいたんだ。それからチビは貴族の男にかなり警戒心を持っていたけど俺たち平民には優しかった。初めは王族なのに変な奴だと思っていた。だけどチビはすっげぇいい奴で、俺の何よりも大切な人になっていた。でも、俺は照れ隠しでチビをいじめてしまう。それでもチビは俺と仲良くしてくれた。俺と誰も仲良くしようとしていないのに。なんっつーか、俺自身もよくわかんねぇけど、俺って怖がられていたんだよな。だから友達もいなかった。いるのは妹だけ。俺のせいでテルにまで被害はでた。俺はテルをイジメた奴を殺しかけた。それを止めてくれたのがチビだった」


俺はネロの目をまっすぐにみる。


その目にはルウを本当に想っている心がみえた。


実はもうわかっていた。


初めて会ったときから、ルウを優しくみる眼差しに俺は少しイラッときた。


だからルウを引き寄せた。


ネロのもとに行ってしまうんじゃないかと不安になって。


もう、離れたくなくて。


「それから俺はチビに想いを抱いた。だけどチビは全然気づいてもくれないし、振り向いてもくれない。……なのに何でお前なんだよ!!!何で俺じゃないんだよ…………」


ドンッと胸板を叩かれた俺は少しだけよろめいた。


ネロのルウに対する想いが強すぎて……。


かなり動揺してしまった。


「俺は、俺は何年もチビをみてきた。チビが旅に出てもずっと想っていた。女が嫌いな俺でもチビだけは好きになれた。なのに何でお前なんだ!!!」


ネロはそう叫ぶと、いきなりゆっくりと俺から退いた。


「あぁ、わりぃ……。本当はこんなこと言うつもりじゃなかったんだ。俺が言いたかったのはつまり、チビは鈍感でいっつも不安定で、心配をかけまくる奴だけど、そんな奴を一生捨てないでくれ。本当はすっげぇ頼りになって、本当に優しくて本当に頭がいい奴なんだ。だからチビを頼むよ……」


ハハ、と笑ったネロは泣きそうな笑った顔だった。


俺はネロの腕をガシッと掴んだ。


「ありがとう。俺にルウをくれて、ありがとう」


ネロは意外だとでも言うように片眉をあげた。


「お前謝るようなイメージねぇんだけど……」


俺は微笑を浮かべた。


「よく言われるよ」


俺の顔をみたネロは小さくため息をついた。
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