太陽の竜と闇の青年
「えっと……」


私が壱を紹介しようとしたとき、壱がスッと私の肩に手を持っていった。


グイッと壱のほうに引っ張られる。


「うひゃぁ!」


私が壱のほうに寄ると、壱は小さく笑ってなぜか挑戦するような目でネロをみて言った。


「俺は空風壱。和国の第一王子でもあり……コイツの許嫁だ」


その瞬間、ネロとテルの目が大きく見開かれた。


特にネロは口までもポカン、とあいていた。


「そんな……ルーちゃんが……。ほ、本当なんですか?」


私はニコッと笑ってうなずいた。


「うん。壱は私の許嫁だよ」


ネロが私に強引に聞いてきた。


「そんな馬鹿なことがあるか!おまえ、親の言いなりになったのか?だからなのか?」


私はブンブンと首を振った。


私が狸親父の言うことなんて聞くわけない!!


「ち、違うよ。私が壱のこと好きなんだってば」


それを聞いた瞬間、テルがキャッ!と顔を赤くして、ネロは嘘だろ……とつぶやいて顔を青くした。


なぜに二人ともまったく違う反応……?


私が首を傾げたとき、フウがガシッとテルの手を掴んだ。


「……どうしたんですか?」


テルが首を傾げてフウを見上げると、フウは真剣な顔になってネロに言った。


「ちょっとテル借りてくよ」


ネロが何かを察したのかうなずくと、フウはテルをつれてスタスタと裏山の中へと入っていった。


「テルは昔からフウに恋心を抱いていたからな。あの二人は絶対に成功するだろうよ……。にしても、妹が王族の嫁ねぇ……。俺、恨まれるかも……」


私が苦笑いを浮かべた時、ネロが、ガシッと壱を掴んだ。


壱は首を傾げて捕まれた腕をみている。


「ちょっと来てくれるか?」


壱がチラッと私をみたけど、うなずいて私に言った。


「ルウはここにいろ。いいか、絶対に動くなよ」


私は、はーい!と返事をすると、樽の上に座った。


二人はフウたちとは真逆の裏山へ行った。


あぁ、一人だなぁ……。


一人になるとどうしても落ち着かなくなってしまうのは、昔のことがあるからなのかな。


私が上を見上げると、空は雲一つない晴天だった。


後で皆のところに挨拶周りしないとなぁ……。


あ、それから狸親父と母上に刺青のことも言わないと。


今日は忙しい日になりそうだ!
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