太陽の竜と闇の青年
「竜の民には絶対に破ってはいけない[十戒]というものがあったのを覚えているか?」


私は曖昧にうなずいた。


何しろ結構昔のことだ。


あまり覚えていない。


「まぁ別に覚えていても覚えていなくてもどちらでもいいんだけどな……。その十戒の5戒目に[決して人間の天皇を殺すべからず]というものがあった。それをヒドラは…破ったんだ」


フィンドは唇を噛みしめた。


「だが……ヒドラは皆の命を救った。竜の民の命を」


私が眉をひそめると、白虎は思い出すように目を細めた。


「天皇は昔、かなり凶悪な奴らだったのです。人身売買やヒューマンショップ、オークションまでも開けようとしていたのです。そして……初めに目をつけられたのは勿論、当時圧倒的な力を持っていた竜の民なのです。竜の民は値段が他の人間よりも遙かに高く、命を狙われることも少なくはありませんでした。実際に竜の民で襲われたという人は何人もいました。……ヒドラの許嫁、つまり、我が主の母親にも目がつけられたのです。それを知ったヒドラは天皇をヒドラ一人の手で殺したのです。そのとき、あなたたちはまだ産まれていなかった。天皇がいくら凶悪でも、竜の民以外の他国では天皇を手にかければその命をもって罪を償えといわれていたのです。ですから、ヒドラは捕まってしまったのです。お腹の中にいる我が主とフウ、そして愛しの人を残して」


フィンドはチッと舌打ちをした。


「ったく、天皇っつーのは昔っからイヤな奴だよ。しかも、泣けることにヒドラは笑ってさよならをしたんだぜ?そのうえ、鬼に「俺の唯一の子を頼む」って言ってきたもんだ。ったく、子育ては勘弁だったよ」


私は驚いてフィンドをみた。


「私とフィンドって昔会ってたの!?」


フィンドは即突した。


「あぁ。ずっげぇ貴様ぽっちゃりしてたぞ」


私はゲシッとフィンドを蹴った。


それをフィンドは苦もなくよける。


「本当の話だろ!!」


「一言よけいなの!!」

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