太陽の竜と闇の青年
ルウたちの背中を見送っていると、テルが声を発した。


「風国が寂しくなりますね」


僕はフッと笑った。


「そうだね。ルウは騒がしかったから」


テルは微笑を浮かべた。


ルウみたいな柔らかい笑顔で。


「でも、そのおかげで私たちは笑えました。ずっとずっと笑っていられました」


僕はテルの手を握った。


「うん。そうだね。僕も……そうだったよ」


テルは僕の顔をのぞき込んだ。


「悲しいんですか?ずっと一緒にいた方と別れるのは」


僕は困ったように笑った。


「どうなんだろうね。曖昧だよ」


テルは僕をジッと見つめて小さく笑った。


「そうですか」


「うん」


本当に曖昧だった。


悲しい気持ちもあったけど、うれしい気持ちもあった。


それに……なぜか不安もあった。


行ってらっしゃいをするときのルウの顔が、一瞬だけあまりにも虚しくなって……。


その顔をみた瞬間、嫌な予感がした。


あれはいったい何なんだろうか。


「でも、ルーちゃんは大丈夫ですよ。確かに不安な部分もあるけど、壱さんがついているんですから」


……そうだ。


ルウには壱がいる。


誰よりも強くて、僕よりもルウのことを知っているであろう壱が。


行ってらっしゃい。


ルウ。


そして、絶対にまた会おう。
< 579 / 824 >

この作品をシェア

pagetop