太陽の竜と闇の青年
[壱]


ルウにはあぁ言ったけど、実際のところは有言に会いに行くためだ。


どこにいるかは想像できないが、大体わかるような気がした。


”あの後 ”どうなったのかが知りたかった。


有言が逃がしてくれるとは思えないし、ルウがやったとしても有言は……。


有言は空気のような存在だ。


有言から逃げれた奴なんてルウが初めてだろう。


俺は黒装束に身を包み、あの頃のように和国を飛び回っていた。


なるべく早く帰ってやらないと……。


ルウが不安になってしまう。


一度だけフウから聞いたことがある。


「ルウは小さい時は闇を好んだ。だけど、今は光を好んでいる。それはいいことだと思う。でも、欠点が一つだけできた。極度の闇嫌いになってしまったんだよ。夜、一人で家の中にいると、とってもとっても怖くなるんだ。自分の命が落とされるんじゃないかって毎日毎日不安になるんだ。だから、夜一人になったら、ルウは震えだすんだ。いつもはサクラがついてくれていた。たまには僕だっていた。でも、ルウにサクラも僕もいなくなったら、ルウはどうなっちゃうんだろうね……」


それがずっと俺が出かける時にひっかかっていたことだった。


どうせならルウも一緒につれていったほうがいいと思ったんだが……。


あんな状態だし、有言に目をつけられたら俺でも守れないかもしれないからな……。


いや、もう目はつけられているのか。


「くそっ……!」


俺がそうつぶやいたとき、前方に見覚えのある姿をみつけた。


俺は思わずそいつを呼び止めていた。


「莢!!!!!!」


莢は俺の言葉が聞こえたのか、すぐに上を見上げた。


久しぶりにみる莢の顔は昔と何一つかわらずにいた。


そう、相変わらずケバいままで。


「おや、あんた帰ってきていたのかい!」


俺は莢に上に登ってくるよう合図を送った。


昔の仕事上、下町では命が狙われることが多いからな。


屋根の上に登ってきた莢に俺は一言だけ伝えた。


「夜になったら俺の部屋にいてくれ」


莢は目を見開いた。


「まさか……あんた……」


俺は莢の想像していることが思い浮かんでため息をついた。


「俺はお前を襲うほど趣味が悪くはない。変な妄想をするな」


莢は、だろうね、といった顔で俺をみた。


「だけど、一体全体何であんたの部屋に行かないといけないんだい?まぁ場所は知っているけどさ」


俺はチラッと陽をみた。


まだまだ時間はある。


だけど、こんなところで長話をするよりも有言たちと話したほうがいいだろう。
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