太陽の竜と闇の青年
私たち一同は、和国に向かっていた。


もちろん、白虎に会うために。


「宝玉になっているって朱雀は言ってたんだよね。ってことは、和国の王か誰かが宝物としているってことかなぁ?ねぇ、サクラ?」


私がクルッとサクラのほうを振り返ると、サクラは顔を真っ青にしながらうずくまっていた。


「姫様!今、サクラさんは船酔いと戦っているんですからいじめないでくださいよ」


ラカに怒られた私は生返事を返した。


「で?どうなんだろ?フウ」


フウのほうをみて私が訪ねると、フウは笑いながら言ってくれた。


「ルウの勘は間違っていないと思うよー」


その言葉に、隣に座っていたリクもうなずいた。


ストンッと席に座り、私はリクをみながらいった。


「リクも船酔い?」


すると、リクは苦笑いをして言った。


「いや、俺は船酔いじゃない。考えごとだ」


……考えごと?


特に考えることなんてないと思うけど……。


「考えごとって何?」


私が首を傾げながら聞くと、リクは渋面になって言った。


「いや……和国は、暗殺って言われる殺し合いが多発する国って聞いているんだ。確かに和国は独自の文化を生み出していて、いい国だと思うんだが、どうも国の者は金持ちっていうのが嫌いらしくてな。そいつらを暗殺っていう手で殺すことが多いらしいんだ」


暗殺かぁ。


「リクさん、それってつまり、僕たちも狙われるってことですかぁー?」


後ろの席で、フウが手を挙げながらおふざけのように言った。


「あぁ。俺たちは他国のもんだし、服装はともかく、身につけているものは基本的に高価なものだろう?」


私は首にかけていた翡翠を手で触れてみる。


中に描かれている朱雀の絵が小さく動いた。


朱雀は、翡翠の中でも動くことができるらしい。


「あぁ。確かにそうですね。わたくしたちは王であることを誇りに思うために、高価なものをつけてしまう習性がありますからね。どうしましょうか?」


ラカがサクラの背中を心配そうにさすりながら聞いてきた。


「のけたら?」


私が単純にそう言ってみると、フウに脳天チョップされた。
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