太陽の竜と闇の青年
[壱]
俺は、音もなく障子を開けた。
「……おい」
俺が声をかけた男は、一瞬ビクッと肩を動かした。
「あ、あははははは」
俺のほうを見て苦笑した男の顔は整っている。
ただ、不自然な点があると言えばその目の色だ。
外国という和国の外に出れば目の色が様々だとは聞いているが、和国内でコイツのように目が赤い人は一人もいない。
「何をしている」
俺は目を細めて男を見た。
「いや、さ。最近、仕事が忙しそうだったから酒でも置いて帰ろっかなぁ……と、思ったんだ」
俺は男の隣に座って男が持っていた酒に手を伸ばした。
「俺はこれから少し出かける」
すると、男が渋面を浮かべた。
「またか?壱、少し働きすぎじゃねぇのか?」
俺は細めた目を戻して男をみた。
「牙城、心配してくれるのはうれしいが、これは国のためだ。サボる訳には絶対にいけない」
牙城は小さくため息をつくと、立ち上がり、俺の部屋から出ていった。
「ぶっ倒れないように注意しろよ」
帰り際にそんな言葉が聞こえたのは空耳だったのだろうか。
俺は全身真っ黒の自分の姿を見た。
「この手も、いつの間にか汚れてしまったな」
俺は、音もなく障子を開けた。
「……おい」
俺が声をかけた男は、一瞬ビクッと肩を動かした。
「あ、あははははは」
俺のほうを見て苦笑した男の顔は整っている。
ただ、不自然な点があると言えばその目の色だ。
外国という和国の外に出れば目の色が様々だとは聞いているが、和国内でコイツのように目が赤い人は一人もいない。
「何をしている」
俺は目を細めて男を見た。
「いや、さ。最近、仕事が忙しそうだったから酒でも置いて帰ろっかなぁ……と、思ったんだ」
俺は男の隣に座って男が持っていた酒に手を伸ばした。
「俺はこれから少し出かける」
すると、男が渋面を浮かべた。
「またか?壱、少し働きすぎじゃねぇのか?」
俺は細めた目を戻して男をみた。
「牙城、心配してくれるのはうれしいが、これは国のためだ。サボる訳には絶対にいけない」
牙城は小さくため息をつくと、立ち上がり、俺の部屋から出ていった。
「ぶっ倒れないように注意しろよ」
帰り際にそんな言葉が聞こえたのは空耳だったのだろうか。
俺は全身真っ黒の自分の姿を見た。
「この手も、いつの間にか汚れてしまったな」