時を刻む







「パパ―…!この時計、壊れてるよ!」

「…ああ、本当だね。
公園の管理事務所に言って
直してもらわないと。」



子供と
その父親か

賑やかな
声が聞こえる



「あら…―懐かしいわね。
あなたと恋人同士だった頃、
よく待ち合わせをした場所だわ。」

「ふふ、それから…プロポーズもね。」



夫婦だろうか
聞き覚えのある声だ



「あなたが指輪を取り出した時
正直―…戸惑ったのよね。」

「仕事も順調だったし?」

「そうよ。結婚で振り回されるなんて
まっぴら、って。…でも。」



女の言葉が
プツリ 途絶えるが

わたしの目はもう
何も映さない

代わりに

女の視線が
こちらに向けられたのが
気配で伝わった



「…覚えてるわ。
12時きっかりに、その時計が
何かを告げるように鐘を鳴らして。

それで、ハッとしたの。

あなたと会う前の5分間…
どれだけ、私が幸福だったのか。

時計は何か…大切なことを
教えてくれたのよね。」

「…時間や幸せって、
お金じゃ買えないからね」

「もう!あなたはすぐそうやって
綺麗にまとめちゃうんだから!」

「パーパ!マーマ!
ケンカは、メーーっ!」



――…



何気ない
人間たちの会話が

今日もまた
この緑の園で織られていく

幸せの色をした 時間



「―…じゃあね、時計さん!

次は、"たいようでんち"っていうの
入れてもらおうね!」



小さな希望を、孕んで








…く、たく

ちく、たく




そして新しい命をまた
私も歌うのだ。



人と共に


ちく、たく


永遠に


ちく、たく


ちく、たく、…たく。






【了】









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