きすはぐあまこい

かの有名な芸術家やら、作家。

そもそも抜群に何かが飛び抜けている人間は、どこか変わったところがあるっていう。



まさにそれを反映しているのが彼だった。


それは彼と話をするとよくわかることで、彼はいつも人と違う視点でものを見ている。


それ故、彼はモテ男と同時に不思議クンで芸術部のエースという称号も獲得していたのだ。




沢木くんはわたしたちが特に気にも留めないようなところまでしばらく微調整を繰り返し、ようやく作品が完成した頃には全校して拍手喝采。ヒューヒューと口笛を鳴らしたりする人もいた。





午後の授業が始まる前に戻ってきた彼は泥だらけだった。

それについて先生は何も注意をしなかった。


それどころか、グラウンドを見渡せば必死にあの像を写真に納めてる校長やら、先生が何人かいた。


そんな芸術家沢木くんは泥を拭いもせずに、堂々と机と机の間を行き、そうしてわたしの隣の空席に腰をおろした。
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