好きだと言えなくて

春乃は・・・男と一緒だった。
浴衣を着て、男と手を繋いで・・・

なんだ・・・春乃、もう彼氏出来たんだ・・・
やっぱり俺のこと好きじゃなかったんだな・・・

そう思いながら春乃を見ていると、一瞬目が合った。
大好きな春乃・・・かわいい春乃・・・
そんな春乃と目が合った俺は、春乃が他の男と一緒にいるのを見ていられなくて、春乃に気づかないふりをして、そのまますれ違った。


急に黙ってしまった俺に、姉貴が言った。

「俊介、もしかしてさっきの女の子のこと、好きなの?」

なんだよ・・・姉貴って、ホント勘がいいんだよな・・・

黙っている俺に姉貴は続けた。

「ふ~ん・・・あの子、隣にいたの、彼氏じゃなさそうだけど・・・っていうか、なんか、無理やり付き合わされてるっぽかったけど・・・ほっといて大丈夫なのかなぁ・・・」

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