好きだと言えなくて
泣いてる春乃の頬に触れた俺は、そのまま春乃の唇に自分の唇を重ねた。
震える春乃の唇。いや、たぶん俺も震えていただろう。
春乃・・・好きだ・・・
しばらくして唇を離すと、春乃のか細い声が俺の名前を呼んだ。
その声に、俺は春乃を強く抱きしめて言ったんだ。
「春乃・・・好きだ・・・もう俺から離れるなよ・・・」
やっと言えた俺の気持ち。
すると春乃も俺に言ってくれた。
「俊ちゃん・・・あたしも俊ちゃんが好き・・・ずっと好きだったよ・・・」
そんな春乃に、俺は本当のことを言った。
「春乃・・・ごめんな・・・俺、春乃の気持ちが知りたくて黒川と出掛けたり、別れようって言ったりしたんだ。でも、めちゃめちゃ後悔した。俺は春乃がいなきゃダメなんだよ・・・」
そう言ってまた春乃を強く抱きしめた。
「春乃・・・さっきので春乃に風邪移しちまったかも・・・ごめんな・・・でも、もう一回移してもいいか?」
俺がそう言うと、春乃は黙って頷いて目を閉じた。
春乃・・・好きだ・・・好きだ・・・
何度も何度も春乃の唇にキスを落とす。
そんな俺のキスに、かわいい顔で応える春乃が愛おしくてたまらなかった。