大好きな君へ
僕はそんな彼女の後ろを慌てて付いていく
これは完全なストーカー行為だろう…
けれど今は仕方がない、タイミングを見計らって偶然を装い声をかけるチャンスを待とう
そう決心して彼女の日傘を追いかける
こんな風に彼女の後ろ姿を見たのは初めてかも知れない
だって彼女はいつだって僕の左側にいたから
僕たちは一応、恋人同士だったんだ
婚約だってしていた
それなのに彼女に『好き』だとは一言も言わなかった僕は後悔している
好きだなんて甘っちょろい台詞、男が言うものじゃないなんてそんな風に思っていたんだ
だから彼女にプロポーズした時も、僕は『僕に付いてきてくれるかい?』っと一言聞いただけ
彼女は笑って『はい』っと答えたっけ