檸檬の変革
七海は優雅な足取りで僕の直ぐ側まで来た。
そして、胸のネックレスを見た。
全てを悟った様子だった。


『彼をここまで連れて来てくれて、ありがとう。』
七海は胸に手を置き顔を胸に埋め胸の鼓動を聴き入っていた。
僕は七海の気の済むまで鼓動を聴かせた。


太陽が後少しで地平線に沈む迄七海は胸の中の想い人の鼓動を聴いていた。


やがてゆっくり名残惜しい様に胸から離れた。


そして、僕の顔を見上げ優しい口調で言った。
『ありがとう。彼が貴方の中で貴方と生きてゆくのね。貴方で良かった。きっと貴方なら彼も喜んでくれると思うわ。』


僕は…………。


狩屋 伸司として坂貫 七海に会いに来たんじゃない。


笹木 夏樹として夢魔に会いに来たはずなのに。



僕は、僕は夢魔が好きな笹木 夏樹だ。
< 126 / 193 >

この作品をシェア

pagetop