檸檬の変革
いつの間にか寝ていたらしい。
海はもう太陽が地平線から登っていた。

焚き火の火も消えて、夢魔もマリアも居なかった。

僕はゆっくり身体を起こし、海を見た。
波は穏やかで澄んでいた。


暇だったので砂浜をブラブラしていたら、岩の向こうから話し声が聞こえた。

夢魔とマリアの声だった。

『七海は運命を信じる?』

『ええ。勿論。どして?』

マリアが少し時間を置いてから夢魔に言った。

『あたし、初めは信じて無かった。単なる思い込みだと思ってた。でも、夏樹に会った瞬間いままで見て来た景色が一変したの。』

七海は嬉しそうに言った。
『夏樹を愛しているのね。』

『どうなのかな?この気持ちが人を愛する気持ちなら大変だわ。自分をコントロール出来ないんだもの。』


『でも、夏樹君をあんなに必死に庇ったじゃない?それは夏樹を愛しているからよ。』


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