檸檬の変革
帰国までの数日僕達はインドネシアを満喫した。
観光は勿論。ショッピング、レストランのディナー。マリアはエステ、僕は民芸品巡り。

出発前夜、大量の荷物をトランクに詰め込もうと格闘していると、ドアをノックする音がする。
ドアを開けるとマリアが立っていた。

『最後の夜だし、外に出ない?』

僕は振り返り、トランクからはみ出た荷物を眺めた。
気分転換しよう!

『いいよ。ちょっと待ってて。』


僕は身の回りの物だけ持って部屋を出た。


大通りに面した浜辺を歩いた。
この砂の感触ともお別れだな…。
そんな事を思いながら歩いていた。

『夏樹。』

マリアが歩きながら僕の名前を呼んだ。

『うん?』

『夏樹は夢魔に会えて良かった?』

僕は笑って言った。
『うん。胸のモヤモヤが取れた感じで、晴れ晴れとした気分だよ!』
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