檸檬の変革
2人は言葉を交わすこと無く透き通った青い海が夕陽に染まるまで眺めていた。

美夏は家族との思い出。

美空は祖父の思い出。


それぞれ、海の水面に映しながら思い出していた。


『君達何時までそこに居るの?』

不意に人の声を聞いてビックリして振り向くとビッショリ濡れたTシャツを着た若い男の人が金網の向こう側から2人を見ていた。


美夏が答えた。
『夜まで!』

それを聞いて今度はTシャツの男の人が驚いた。

『止めた方が良い。この辺夜になると街灯も無くて真っ暗で危ないよ!』


美空は如何にも迷惑顔を隠すそうともせず言った。

『ほっといてよ!真っ暗じゃなきゃ意味ないのよ!』


Tシャツの男の人は何も言わず金網の向こうに消えていった。
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