LOST ANGEL
隣に幽霊が居ますなんて、信じてもらえないよな。
ふと、さっきの杏奈の言葉が頭をよぎる。
信じて欲しい…それはとても真剣な願いだったはずだ。
それなのにオレは…
その時初めて、自分から杏奈に触れたい、頭を撫でてやりたい、そう思った。
駅でバスを降りる。
乗車するときも下車するときも、運転手は杏奈に全く気付いていなかった。
本当に他人には見えていないんだとオレが考えている横で杏奈は「タダ乗りラッキー」と笑ってい
た。
その笑顔にホッとする自分が不思議であった。
「ここから自転車?」
「うん」
駐輪場には居眠りをしている係のおじさん以外に人がいなかったので独り言だと思われる心配はな
い。
「乗っていくの?」
「まぁ、…その方が早いし」
「じゃあ、わたし後ろに乗っていい?」
「後ろ?」
「嫌なの?」
頬を膨らます杏奈。
「いや、そういう意味じゃなく、幽霊だったら浮いたり飛んで移動したり出来るのかなと思っただ
け」
「わたしも最初はそう思ったの!でも無理なんだよね」
「チャレンジしたんだ?」
半分笑いながら尋ねる。