LOST ANGEL
「神様と面接するのに2週間も待たされたんだよ!」
えっ……?
「神様と…面接?」
「そうなの。手続きが面倒だったの」
手続き……?
「あの〜…。話が全く解らないんだけど」
「最初っから詳しく話す?」
「うん」
お願いします…。
彼女はオレの方に真っ直ぐ向かって座りなおした。
「あの世っていうのは、この世が考えてる世界と全く違うの」
「この世が考えてる世界って?」
「天国があったり、地獄があったり、三途の川にお花畑、閻魔様とか色々あるじゃん」
「ああ…」
「そんなのは作り話!あの世はもっとハイテクなのよ!」
杏奈の顔に気合いが入る。
「まずは受付でIDを発行してもらうの。そのIDをもらう列がスゴく混んでて、受付にたどり着くまで1週間もかかったわけ」
あの世でIDなんて言葉を使うのが意外すぎて杏奈の発言にやや疑いを持ってしまう。
「で、IDをもらったらパソコンみたいな機械にそのIDを入力して人生の履歴書みたいなものを打ち込むの」
「履歴書?」
でも、彼女の瞳は嘘をついているようには見えなかった。
「いつ、どこで、どんな風にして生まれて、どんな人生を送ったかを細かく記入するんだけど……ほら、あの世ってお年寄りが多いじゃない。だから機械操作にとまどうじいちゃんばあちゃんが溢れちゃって大変なわけよ」