LOST ANGEL

ツナマヨおにぎりとたまごのサンドイッチ、ペットボトルのお茶をカゴに入れて杏奈尋ねる。

「欲しいもんある?」

勿論小声だ。

「あるわけないでしょ」

「雑誌とか、ページはめくってやるよ」

「いいよ。面倒だもん」

半分照れながら返事をする杏奈。

「じゃあ、会計するわ」

「待って!」

「なに?」

「これだけしか買わないの?」

オレは頷く。

「昼と夜は?」

「あぁ…たまにはスーパーで買い物して自炊でもしようかと…」

そう言うと、杏奈は何も言わず、にっこりと微笑んだ。


近所の公園へやってくる。
公園といっても、遊具はひとつもない、芝生とベンチ、散歩歩道があるくらいだ。

でも芝生の広場広く、昼寝には最適の場所である。

青空を見ていたら、外で食事をしたくなったので、コンビニからそのまま杏奈を連れてきた。

「素敵な場所だね」

杏奈は目を輝かせる。

「天気はいいし、風も気持ちいいな」

そう言って芝生に座った。
杏奈も隣に座る。

「風、気持ちいいの?」

「うん」

「いいなぁ。私も感じて見たかったな。この芝の感触も香りとか
も」

そうか…杏奈には分からなかったんだ。

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