LOST ANGEL

オレたちはまず、正門へ向かっ
た。

「入っていいのかな?」

杏奈に尋ねる。

「分からないけど、ここにずっと立っているのも変に怪しまれるよ」

「じゃあ…」

「こっち」

どうすればいいかと聞く前に、杏奈は校舎の横の細い道に入っていった。

オレは慎重に杏奈の後ろ姿を追
う。


セーラー服の後ろ姿…

一瞬目が眩む。


「ここからなら、人に見つかりにくいし、部活も見えるよ」

「あっ…ああ」

杏奈の笑顔を見ると、もやもやした何かが消えた。

ただの立ち眩みか…。

「校庭?意外と狭いんだな」

「都心の校庭なんて、どこも狭いんじゃない」

奥で野球部、手前で女子のサッカー部が活動していて、そのまわりを陸上部らしき生徒たちが走っていた。

「女子サッカーか…。なでしこの影響ってスゲーな」

なんてつぶやいてると、サッカーボールがコロコロと足元に転がってきた。

女の子がひとり、ボールを追いかけてくる。

杏奈はスッと建物に身を隠した。

隠れなくても見えないのに…。

オレはボールを拾う。

「スミマセン」

ボールを追ってきた少女はしっかりとメイクをし、金髪に近い髪を巻き上げて団子にしている。

爪もネイルがキレイにほどこされていて、ザ・女子高生という感じだった。

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