LOST ANGEL
「杏奈?」
隠れていた杏奈が気まずそうに出てくる。
「…ゴメン。わたし、あの娘苦手でさ」
「オレも苦手だ。あのタイプ」
「嫌な思いさせちゃったね」
申し訳なさそうにうなだれる杏
奈。
こんなにしおらしい杏奈は初めて見る。
「別に気にしてないけど、あの娘の言ってたことってホント?」
声を出さずに頷く杏奈だった。
日が暮れる頃、オレたちは今朝いた公園に戻ってきた。
スーパーで買った食材の袋を横に置いて芝生に座る。
杏奈もそっと隣に座った。
あれから杏奈はあまり喋らなくなっていた。
「疲れたな」
「うん」
「幽霊は疲れないだろ」
「…そうだったね」
愛想笑いをする杏奈。
明らかに落ち込んでいるのが分かる。
「あのさ…」
囲を決して聞いてみる。
「なに?」
じゃないと先に進めない気がし
た。
「身体は疲れてなくても、心は疲れた?」
「えっ?」
遠回し過ぎたかな…。
「元気…ないなと思って」
「…やっぱ、わたしって顔に出ちゃうんだね」
「それはオレも同じだけど」
「慧斗って、優しいね」
「杏奈の方が優しいと思うけど」
「わたしは偽善者っぽいもん」