LOST ANGEL
ベッドの上に座っていた杏奈だったが、明るくなったことに驚いたのか、慌て部屋の角に避難したようだった。
「やっぱり変わってないや」
相原は部屋の中を見回す。
「星の写真、懐かしいな」
「……」
星のポスターを相原は本当に懐かしそうに眺めていた。
「お兄さんから聞いたよ」
「何を?」
「まだ、教師目指してるんだってこと」
「ああ…それか」
「具体的に進路決めた?」
「いや、…何も」
「そーなんだ」
相原はまたクスクス笑う。
「変わってなくて悪かったね」
わざとふてくされた様に言ってみた。
「羨ましいよ…」
「何が?」
「慧斗くんが変わらないでいること」
相原は少し視線を下に落とす。
「わたし、変わったでしょ?」
「…うん」
「本当は変わりたくなんてなかった」
鈍感なオレは相原は言葉についていけなかった。
「…でも、人って変わらないと生きていけないみたい」
「……?」
「慧斗くんみたいな人は特別なんだよ」
「特別?」
「世間に汚れないで生きてる人」
オレが?
「わたしもそうでありたかった」
「相原?」