LOST ANGEL

それとも、どこかで頭を打ったのか?


でも、どんな理由があったとしても、オレは杏奈を見つけたんだ。


愛については、まだ解らないけ
ど…。





それから花火大会の日まで、食料を買いにいく以外で外出はしなかった。

杏奈が引き止めるから。

オレのことを心配してくれてい
る。

花火大会に行くまでに具合が悪くなったら困るという理由でなのが少し悲しいが。


「慧斗は花火大会って行ったことある?」

「あるけど」

「誰と行ったの?」

興味津々で目を輝かせている杏
奈。

「誰とって、色々」

「色々?」

「小さい頃は家族とかで行ってたし、後は友達とか、いたら彼女とかだったかな」

「へぇ〜」

夜空を見ながら杏奈はつぶやく。

「こんな都会の空でも花火はキレイ?」

「キレイだったよ」

「生で見るの初めてだからドキドキしちゃう!」

まるでコンサートを前日にひかえたファンのような様子だ。

「ねぇねぇ、ドラマみたいだね」

「なにが?」

「恋人同士で花火みること」

っ…!

「恋人っ?!」

「じゃないけど、はたからみれば男女で花火はそう見えるじゃん!」

突然何を言いだすのかと思った。

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