ふわふわのシフォンケーキ
「失礼します。」
入室すれば、私が思った通り美幸様は寝癖に悪戦苦闘している様子。
「今日はどんな髪型になさいますか?」
そう訪ねると、
「いつも通りでいいのっ」
と口を尖らせる。
ですが美幸様、私は知ってますよ? 以前ファッション雑誌に記載されていたツインテールの女の子をジーっと見ていましたね。
「本日はツインテールにしましょうか?」
にこっと笑えば、ドレッサーの鏡越しに美幸様の表情が赤く染まっていくのが分かる。
「ツ、ツイン・・・・・・ツインテールっ、なんか、私興味ないっ! ゆうたの馬鹿っ!」
美幸様の了解も得ないまま、髪を両サイドに結い上げていくと、頬を膨らませながらも少しだけ嬉しそうに笑っている美幸様。