いつか、眠りにつく日
「私は別に行きたくないんですけど?だって、このままここにいれば、みんなのこと見ていられるわけでしょ」

 その言葉に男は振り向く。
「そうしないように俺がお前を正しい道に案内するんだ。ここに残ると確かにみんなと一緒にいられる。だが、それが楽しいのは最初だけだ」

「そうかなあ」

「考えてもみろよ、みんなからはお前が見えないんだぞ。誰もがいつまでもお前のことを悲しんではいられない。いつかお前の死を消化し、自分の人生を謳歌する。その時に、お前は絶対に、みんなに対してねたみや恨みを感じるはずだ」

 その時のことを想像してみると、確かにそんな気がしてきた。

「それにだ」男は腕を組む。
「この世界に居座ったやつらは、生きている人間への想いに支配され、やがて怨念となりこの地にしばられるんだ。こっちで言う『地縛霊』ってやつだ。それはつまり、お前を愛した人に不幸をもたらすことになるんだぞ。そうなると、もうあっちの世界には行けない」







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