さよなら、…ありがとう
鳴衣の隣にいる子が、こっちを見ていた。
…正確には、睨んでいた。
下田りほな(シモダ リホナ)。
やたら睨んでくる、一番苦手な子だ。
なぜ睨まれるかといえば、わたしが三人と話すからだ。
どうやら、おもしろくないらしい。
もちろん、わたしも苦手だ。
何かが合わないというのが本音だった。
「なるー、そろそろチャイム鳴るから行こー」
「うん!
ミスキ、また後で!」
「あ、うん…」
横を通る瞬間にちらっと見られた。
…何がしたいんだこの子は。
「…チッ」
舌打ちをしてしまった。
けれど、騒がしい教室のおかけで誰にも聞こえなかったようだ。
さて…一限目、がんばろう。