明日目が覚めたら
「アレク見て!月が綺麗よ散歩に行かない?」


「ああ、いいね。」


旅から戻ってから、二人で過ごすことが多いのは相変わらずだったが、

アレクの立場は変わった。

教育係としてでなく、婚約者として。


「なあ、ウルル聞きたいことがあるんだけど、」


「なにかしら?」


「旅に出発する数日前、ここにヘインといたよね?」


「え、そうだったかしら?」


「イヤ、いた確かに。俺は見てたんだよ。

 あの日もこんなふうに月が明るい日だった。」


「え?見てたの?お酒飲んだところを?」


「お前酒飲んだのか?」


「え、ええ、ちょっとだけ。」


「それだけじゃなかったよな?」


「え?いやあ、ちょっと酔ってたから覚えてない。」


「本当か?」

 
「え。え?えっ!何もしてない、、と思う。」


「どの口が言う。」


「ホントですってば。」


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