片想いだったね
「高木参戦っ!!!」
「美紀行けーっ!!」
周りの声なんて全く聞こえない。何も見えない。
見えるのは鼻血が流れて鼻を押さえているまっすと、目の前にいるぽっちゃりした憎らしい景子の姿だけ。
心の底からキレた喧嘩は初めてだった。
小学校の時にふざけて男子に蹴りやパンチを入れることはしょっちゅうあるのに、こんなに怒りで殴り合いなんてしたことなかった。
殴っても殴っても倒れない景子に、殴っても殴っても倒れない私。
髪の毛を掴まれて思い切り投げられた時は流石に倒れながら頭を押さえた。
何十本も髪の毛を一気に抜かれるとカナリの鈍痛がして、いくら切れて痛みが鈍くなっていてもこの痛みはなかなか回復しなかった。
さっきのまっすと同じ、
景子が私の上に乗って馬乗りのポジションを取られた時は、足をバタバタさせて抵抗したが何も出来ず、二発三発と簡単に顔面を強く殴られて動けなくなってくる。
周りの騒いでいる声がここでようやく聞こえてきたけど、また直ぐに遠のいてくる。
「景子!!止めろっ!!」
景子の手がピタリと止まった。
だけど、そこから動く体力がもう残っていなかった。