記憶 ―砂漠の花―
「さて、皆の身分も明かされたところで、話を元に戻そうか。」
リオンさんが真剣な目に戻った。
アズがしばらくぶりに言葉を発する。
「そのマルクが、裏でサザエルを操っていたとして…」
全員で、3ヵ国で起こった過去の歴史を擦り合わせていく作業が行われる。
「サザエルを乗っ取った彼の次の目的が、シオンやラルファへ向くわけだが。」
「うーん…。シオン国はその後これといって何もないんだよね。復讐するならシオン国だろ?」
なんで?と、アラン。
「すると、ラルファの次期国王暗殺の企みに繋がるか…。」
キースが渋い顔をして小さな声でそう呟く。
「マルクは、カルラ様に偉く執着しているな。ラルファに嫁ぐ事を知っての行動だろうな…。」
ここで、誰もがこの後に続く過去に口を閉ざす。
当事者キースが大きく呼吸する音が周囲に響いた。
カルラ母上の想い人、ラルファ国次期国王の暗殺を狙った企みは、カルラ本人の命を脅かした。
「そこまでして、復讐をしたかったのか、母上を手に入れたかったのか…。」
アズの問いにリオンさんが答える。
「後者、『手に入れたかった』と考えるのが妥当だろう。現に彼女は今サザエルに捕らえられている。」