記憶 ―砂漠の花―
私はその肩をさする事ぐらいしか出来ない。
「…話を割ってすまないが、昨日もそうだったのだが、どうしても分からない…。他の皆は知っているようだから教えてくれないか?」
先生が、そう言ってアズと私を見た。
「もう一人、妹がいるのか?」
アズの代わりに私が話す。
「だぁって、先生。私はウィッチ。アズや父上、カルラさんは違うじゃない。私は、戦争孤児…。拾われた子なの。本当の妹アイリもカルラさんと一緒だったはずなの…。」
「そうなのか…。てっきり、ラルファ国王が新しくウィッチの妻を持ち、君たちは腹違いの兄妹か何かだと…」
先生は今度は私だけを食い入るように見つめる。
「しかし…。アイリさんの魔力、…血、うーん…」
「……え?」
誰もが首を傾げる中で、アランが自分の両膝を叩き立ち上がる。
「さっ!やっぱり一回シオンに帰ってくるわ。直接、父上と話してくるわ…。」
「アラン…?」
私を見つめる先生の腕を引っ張り、立ち上がらせようとする。
「先生、送ってくださいな。」
先生の膝にいたタビが、ちょこちょこと再び私の膝に来た。
「あぁ…分かったよ。」