記憶 ―砂漠の花―

先生は…
さっき、私をじっと見て何を悩んでたんだろう…。
私の魔力とか、血とか。
そうボソボソ呟いていた。

アランが急に帰ると言い出したから、そのせいで聞きそびれてしまった。



「変なアランっ…。」

私がタビを撫でながら口を尖らせて言うと、アズが横から同調した。


「まぁ、元々変だけどさ。…アイツ、何か隠してないか?」

「…え?」


「ラルファの話になると普段うるさいのに急に静かになる気がする…。」

アズはそう首を捻りながら、もうないアランの姿を追って先生の部屋の方を見た。


「確かに…そうかもな。」

キースも思い当たる節があるらしい。


「…そうだった?」

二ャッ…
『ありぇは何かを隠してりゅ目だったわ。』

半信半疑な私の膝で、タビもそう鳴いた。


『だから嫌いよ!』

と体を丸めて目を伏せた。


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